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Channel: (001治療・専門外来)精神科薬物治療 –精神科医・熊木徹夫が語る「治療のキモ」(摂食障害・醜形恐怖症・ギャンブル依存症・線維筋痛症・発達障害・多発性チック症・SAD・OCD・イップス等)
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『精神科薬物の官能的評価 〜精神科医と患者、主観の架け橋〜』  

(講演録より転載) 1:はじめに 本日は、このような貴重な場にお招きいただき、ありがとうございます。 あいち熊木クリニックの熊木徹夫です。 このたびは、これまで私が提唱してきました「精神科薬物の官能的評価」について、その概略を説明させていただこうと思います。 皆さんの日々の臨床現場においても、官能的評価を意識され、その集成・活用に興味をお持ちいただけることがあるなら、幸いと存じます。...

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服用する根拠・処方する根拠(論文「向精神薬の意味論」より)

まずは精神科患者(あるいは患者予備軍)が、ある向精神薬を服用する根拠について考えてみたい。患者は悩み・苦しみを抱えた時点で直ちに精神科医の前に姿を現すわけではない。患者はまず精神科医に遇う前に、さまざまなことを考えている。今どのようなことで苦しんでいるか。この自分のもつ苦しみの原因は何か。この苦しみを解く方法はないものか。できることなら自ら環境へ働きかけることでなんとかならないものか。あるいは、精神...

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「専門性」をめぐるジレンマ(論文「向精神薬の意味論」より)

誤解を恐れずに言おう。現代の治療において、患者はいかなる不快さも容認しない。医師が患者のためを思うあまり、あえて患者が不快に思うであろう提言・忠告を行おうとしても、患者はそのような暑苦しいパターナルな関わりを、「余計なお世話」と切って捨てるだろう。ある種の薬物がもたらす不快な副作用が、疾患の長期的予後において重要な役割をもつとしても、余程懇切丁寧なインフォームド・コンセントを行わない限り、受容される...

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向精神薬は<時代の病理>を反映する(論文「向精神薬の意味論」より)

先に<時代の病理>と書いたが、それをもう少し丁寧に表現するなら、時代の流れに適応した結果、当初は同時代人に支持・受容されたが、後にその適応の過剰さが仇になって排斥・迫害された自意識が深く絡んだ病理のことである。具体的に例を示した方がいいかもしれない。時代の流れに沿って、それぞれの<時代の病理>の変遷を追ってみたい。...

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治療戦略的プラセボ ~精神科薬物療法の目指す未来~

1:はじめに 精神医学および精神科薬物療法は、ながらく混沌のなかにあった。それは患者の示す精神症状がどのような体のメカニズムによるものか、うまく描き出せないためであり、またそれゆえに向精神薬が効くのに、どのような薬理学的背景があるのか、うまく説明できないためであった。(向精神薬誕生から50年以上経つのに、それらの薬効にいまだ確たる裏づけが与えられていないことの傍証として、『精神疾患は脳の病気か?...

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”服み心地”と「官能的評価」の違い(論文「「官能的評価」から考えた精神科治療論 ~いかに抗うつ薬を、服み効かせるか~」より)

私は拙著『精神科医になる』(中公新書)の中で、精神科薬物の「官能的評価」という用語を持ち出し、こう提唱した。<処方あるいは服用した薬物について、患者あるいは精神科医の五感を総動員して浮かび上がらせたもの、(薬物の”色・味わい”といったもの)や、実際に使用してみた感触(薬効)、治療戦略における布置(他薬物との使い分け)といったもの>。そしてこれを集積することで、おのずから薬物が持っている特性とそれにシ...

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”主客”の共鳴から生まれる「官能的評価」(論文「「官能的評価」から考えた精神科治療論 ~いかに抗うつ薬を、服み効かせるか~」より)

まずこの「官能的評価」が機能するためには、どのような前提がなくてはならないか。 茶道などで持ち出される「主客一体」がそれである。「主客一体」とは、主人と客がそれぞれ主体を維持しながら、同じ「おもてなし」の場を共有して、相互が共鳴して新しい価値を創発していくような関係を指して言う。...

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そもそも身体感覚の鈍い人とは(論文「「官能的評価」から考えた精神科治療論 ~いかに抗うつ薬を、服み効かせるか~」より)

ところで精神科薬物療法は、単に患者の表層的な精神症状のコントロールを司るだけのものではない。精神科医は投薬を行う過程で、治療をうまく機能させるような良き「官能的評価」を患者から炙りだしていく。オーケストラにおいてもいい”音”があるように、「官能的評価」にも、治療をうまく機能させるような良き「官能的評価」と、そうでないものがある。そしてその過程で、患者の身体を耕し、適正な身体感覚を醸成することを狙うの...

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良き「官能的評価」がもたらされるための条件(論文「「官能的評価」から考えた精神科治療論 ~いかに抗うつ薬を、服み効かせるか~」より)

次に、良き「官能的評価」がもたらされるための条件とはどのようなものか、以下に列挙してみたい。   1)精神科医・患者がお互いに信頼し合っていること...

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中井久夫随想~論文「薬物使用の原則と体験としての服薬」をめぐって~

中井久夫には多彩な貌がある。臨床家(精神科医)・医学研究者・訳詩家・詩人・エッセイストなど。そのいずれにも共通するのは、実践家であり体験の伝承者であるということ。評者は中井と同じく精神科医であるが、その経験年数において多大な格差がある。よって、中井の精神医学の経験を恭しく拝受するべきなのかもしれないが、今回はあえて評者自身の体験と見比べることで、中井の臨床家としての一側面を浮き彫りにし、その上で人間...

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「セロクエル錠(クエチアピンフマル酸塩)で、 下痢型IBS(過敏性腸症候群)の症状が消えた」 という”ももさん”に対する回答...

IBS(過敏性腸症候群)は、極度の緊張に襲われると、下痢や便秘、またはそれらが繰り返し現れるというもので、 下痢型IBSは、専ら下痢症状のみが表現されるものを指します。   IBSの薬物療法では、二方向からのアプローチがあります。   一つは腸そのものに働きかける方法です。 例えば下痢型IBSの代表的な薬物として、イリボー(ラモセトロン)が挙げられます。...

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妊婦さんや授乳期のお母さんの、理想的な精神科薬物との関わり方

妊婦さんや授乳期のお母さんは、基本的に精神科薬物の服用を慎むべきです。 それは、精神科薬物が基本的に脂溶性薬物で(脂溶性薬物なので、脳や神経といった”油の固まり”に溶け込みやすい)、妊婦さんの血液から胎児に伝播されること以外に、お母さんのお乳(これも実は”油の固まり”です)経由でも乳児の身体に取り込まれる危険があるためです。 妊娠初期といえど、なかなか侮れません。...

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精神科薬物治療を成功に導くために、精神科医・患者双方が知っておくと良いだろうこと

本書(『精神科のくすりを語ろう・その2』)は、患者さんの官能的評価を集積し、それらを編集することにより、精神科薬物の治療可能性を現状よりさらに拓いていくことを目指したものです。その前提として、それぞれに長所短所はあれど、各々の精神科薬物がより豊かな何かを精神科臨床の場にもたらすはず、という私の信念が存在しているのです。...

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PMS(生理前症候群/月経前症候群)をめぐる男女間のパートナーシップ

あなたは、PMS(Premenstrual Syndrome)をご存知だろうか。 日本語では、生理前症候群(月経前症候群)という。 症状は、実に多岐にわたる。 以下に、挙げてみることにしたい。 ((PMSの症状)) (1:精神症状。心療内科で対応可能なもの) イライラ(焦燥感)・精神不安定・攻撃性 食欲増加(特に甘い物)・体重増加...

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「呑気症」との自覚に至るのに、10年もの年月がかかる?

「呑気」(どんき)っていう言葉、ご存知ですか? 空気を呑む(のむ)ことを指して、そう言います。 緊張すると、「息を呑む」といいますね。 一時的に、無呼吸の状態になり、ゴクリと唾を飲み込むようなこと、誰しも経験があると思います。 しかし、よほどの緊張状態でない限り、息を呑む瞬間に自覚的になることは難しいものです。...

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精神科薬物を服薬中の男性、胎児への影響は?

近頃よく、次のような質問を受けます。 それは、男性患者さんからのものです。 「今、精神科薬物を服薬中だけど、妻が妊娠することを考えたとき、自分も服薬を止めなくてもいいのでしょうか。(精神科薬物の影響が、胎児に及ばないのでしょうか)」 なるほど、心配されるわけは分かります。...

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